高度産業科学技術研究所 橋本智

キーワード

電子加速器、電子ビーム、放射光

研究概要

光速に近い速度を持つ高エネルギー電子の軌道を磁場で曲げると、電子は軌道接線方向に非常に強力な電磁波を放射する(シンクロトロン放射光)。県立大高度産業科学技術研究所が運用するニュースバル放射光施設はエネルギー1.5GeV(ギガ電子ボルト)の相対論的電子ビームを長時間周回させて軟X線領域の放射光を発生させる電子蓄積リングを有する。この様な高エネルギー加速器は多種多様な要素で構成され、装置の安定な運転と高度化に関する研究は宇宙ロケット、核融合と並ぶ巨大装置の科学と言える。加速器の安定化・高度化に向けて要素技術の開発を行うと共に、将来計画としてより高輝度な次期光源リングNewSUBARU-2.0の研究なども行う。

アピールポイント

県立大の所有するニュースバルは国内の大学が所有する施設としては最も大きい施設である。放射光の利用は研究所内だけでなく、国内の企業や研究者、また海外からも多数の研究者が強力な軟X線およびガンマ線の利用のためにニュースバルを訪れる。この様な他の大学にはない最先端の科学インフラを有する事は本学の誇る大きな特色であり、県下の企業による放射光の産業利用推進に向けた支援も行っている。

応用分野

(1)加速器構成要素技術(真空、電磁石、高周波、電気・電子回路、機器制御、計算機制御、etc.)の高度化、(2)シミュレーション研究(装置設計、ビーム力学)、(3)自由電子レーザー(FEL)技術を利用した高出力EUV光源の開発、(4)より高輝度な次期光源リングへの改造計画案の策定